ナイフの切れ味を維持するには?


サイレントカッターやミートチョッパーの
ナイフ(刃物)の切れ味を維持するための
要点を以下に解説しています

要点1:ナイフのサビ・腐食を防ぐ 
要点2:ナイフを「正しく研磨」する

要点1:ナイフのサビ・腐食の原因と防止法

ナイフのサビ・腐食はナイフ破損の直接的原因です。
食品加工機械に取付けられたナイフに発生するサビ・腐食は、ナイフの刃こぼれ・破損につながるだけでなく、食品への異物混入リスクが高くなります。

サビ・腐食の原因を知り、発生を防ぐよう日常の管理が大切です。

以下でサイレントカッター用ナイフ、ミートチョッパー用ナイフ&プレートの腐食と防止策についてご説明しています。その他の食品加工機用刃物についてもご参考になると思います。
なぜステンレス製のナイフなのにサビるのか?
ステンレス鋼は「錆びにくい鋼」ですが、「錆びない鋼」ではありません。ステンレス鋼は大別して4種類があります。ナイフに使われるのはマルサンサイト系ステンレス(SUS420、SUS440)です。

マルサンサイト系ステンレス鋼は、一般の鋼と同様、熱処理(焼入れ・焼戻し)により高強度、高硬度などの優れた機械的特性が得られる性質をもちます。ただし他の系統のステンレスに比べ、耐食性(サビにくさ)の面で劣ります。
ステンレス製ナイフで見られるサビ・腐食の種類とその原因 ①孔食
孔食:ステンレスにもっとも一般的にみられるのが「孔食」です。不動態皮膜が穴状に破壊され、(この部分が局部電池の陽極となり、陰極との面積の比が大きいことと、孔中に酸素が不足することで)、腐食が進みます。孔食は間口の割に深いのが特長です。ナイフでは破損、刃こぼれの直接的原因となります。

▼ステンレス腐食(孔食)の原理
▼腐食(孔食)の起きたステンレス断面
▼孔食が発生したナイフ(表側)▼孔食が発生したナイフ(裏側)
ステンレス製ナイフで見られるサビ・腐食の種類とその原因 ②スキマ腐食
スキマ腐食:カッターナイフとスペーサーの接合部(隙間部分)は、構造的に局部的な腐食が生じ易い箇所です(ナイフとスペーサーは別種のステンレスなので、局部電池現象が起きます)。

塩素イオン(Cl-)を含む水溶液の場合は、この隙間部分が選択的に腐食することが特に多く見られます。腐食は孔食で、できる原理も孔食と同じです。
▼スキマ腐食が発生したナイフ

 

ナイフのサビ・腐食を防ぐには

食品を加工する場合、塩分(NaCl)は避けられない添加物です。しかしナイフの腐食(孔食)の大きな原因であることは上述したとおりです。サビ・腐食を出来る限り防止するには以下のことに留意し管理してください。
サイレントカッターナイフの場合
① 機械を使用後は直ちにナイフを取り外す。
② ナイフ全体をよく洗浄する。スペーサーもよく洗浄してください。
 ナイフ根本付近の腐食はナイフ破損の原因となります。ご注意ください。
③ 水気をよくとり、乾燥させてから機械に取り付ける。
④ 機械を長期間使わない時は取付けない。(局部電池現象を防ぐ)
チョッパープレート&ナイフの場合
① 機械を使用後は直ちにナイフ・プレートを取り外す。
② 取り外したナイフとプレートをよく洗浄する。
③ 水気をよくとり、乾燥させてから機械に取り付ける。
④ 機械を長期間使わない時は取付けない。(局部電池現象を防ぐ)
腐食すると、研磨しても元の状態には戻せません
腐食が進行しているナイフ(刃物)は破損のリスクが高いので、新品に交換することをお勧めします。

当社ではメーカー指定品と全く同等の交換ナイフを取り扱っています。ドイツ製交換ナイフをご参考に。


要点2-1:ナイフは正しく研磨する(サイレントカッター編)

サイレントカッター用ナイフの特長
サイレントカッターは、チルド、フローズンまた、赤身、脂、筋など様々な状態、種類の食肉(畜肉・魚肉)をカッティングする機械です。ドイツを中心とするヨーロッパ製サイレントカッターは性能の高さ、加工品質の高さから、ユーザーの皆さまから高く評価されています。

サイレントカッター用ナイフは食肉のカッティングに必要な切れ味と同時に、強さ(欠けにくい)が重要です。そのためこのナイフは「独特な形状の刃付け」がしてあります。和包丁の「刃付け」とは全く違います。
切れ味を維持するには、刃付けを正確に復元する必要がある
ナイフの命は切れ味です。切れ味を維持するには定期的な研磨が必要ですが、このナイフの「独特な形状の刃付け」を正確に復元するよう研磨しないと、切れ味も再現できません。

サイレントカッターナイフの独特な刃付けの外見的な特長は、①切刃部分が直線(平面)ではなくハマグリ型(曲面)である。②切刃の幅が決まっている(切刃の断面は切先から刃元まで同じ角度)

(注)「切刃」とは刃本体で刃をつけるため断面をくさび形に研磨した部分(シノギ筋から刃先まで)のこと。切刃をどのような形に研磨するかを「刃付」けといいます。
刃付けを正確に復元できる研磨は「ドイツ式研磨」だけ
サイレントカッターナイフの切れ味(食いつかない)と強さ(欠けにくい)を併せもたせているこの独特な刃付け。この刃付けを正確に復元できる研磨は、日本では当社の「ドイツ式研磨」だけです。もっと詳しくはドイツ式研磨へ

以下に、正しく研磨されたナイフと、誤った研磨をされたナイフの例を以下にご紹介します。
「ドイツ式研磨」で、正しく研磨されたナイフの例(サイレントカッター)
誤った研磨をされたナイフの例(サイレントカッター)
誤った研磨1:切刃の角度が大きい=切れない(上段)
誤った研磨2:切刃が直線、角度も大きい(下段)

要点2-2:ナイフは正しく研磨する(ミートチョッパー編)

ミートチョッパー用プレート&ナイフの特長
ミートチョッパーは、スクリューコンベアによって押し出された原料がプレートの穴を通る時、回転する星形や十字ナイフで次々と切断されミンチ状になります。プレートの穴のエッジ部分とナイフのエッジでハサミのように剪断します。

このためプレートの平面部と十字ナイフは共に高い平面度が保たれていないとすき間ができるため剪断力が落ち、切れ味が悪くなります。また、使っているうちに穴のエッジとナイフのエッジが摩耗して丸くなり、肉の筋などが切れにくくなります。

切れ味が悪くなると、プレート&ナイフの締め付けを強くすれば回復すると考えている方がいらっしゃいますが、それは誤りです。無理な締め付けはプレートやナイフの破損の原因、異物混入の原因になりますので、おやめください。切れ味を回復する方法は「正しい研磨」しかありません。
プレート&ナイフの切れ味を回復するには「正しい研磨」で
当社ではドイツナイフメーカーGMST社の技術指導のもと、USA製水冷式プレート専用研磨機を使用してプレート&ナイフを研磨しています。これにより平面度の高い研磨を行うことができます。

エッジの丸みや欠損部がなくなる面まで研磨すると、プレートとナイフの間に隙間が発生しないので、元の切れ味に回復します(下画像参照)。もっと詳しくはドイツ式研磨をどうぞ。
「正しい研磨」をしたプレート(ミートチョッパー用)
▼研磨前:円穴のエッジ部が摩耗している(上画像)
 研磨後:正しく研磨されたプレート(下画像)
「正しい研磨」をした十字ナイフ(ミートチョッパー用)
▼研磨前:エッジが摩耗した十字ナイフ(上画像)
 研磨後:正しく研磨された十字ナイフ(下画像)
研磨できないナイフの例
▼先端部が欠損した十字ナイフ。研磨シロがないので研磨できません(下画像)